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(第1話)上士幌ナイタイ高原牧場
北海道帯広市に住む親父が道楽で始めた蕎麦畑。
十勝地方が初めてという江戸っ子の助っ人ふたり、加藤さんと宮部さんと一緒に収穫の手伝いに行った。
蕎麦の収穫作業の前に北海道観光。“十勝らしい風景”の場所へ案内することにした。
上士幌「ナイタイ高原牧場」。周辺の酪農家たちが夏の間、牛をあずけ、放牧させている、とてつもなく広い牧場だ。 帯広市内からクルマで約1時間。牧場のゲートを通過して、さらに20分。幾重にもなる丘陵の曲がりくねった道をひたすら上る。見 渡す限り、放牧地だ。名物のソフトクリームを売る牧場の見晴台に着く。 このシーズン、牧場を訪れる観光客はほとんどいない。夏場は何十台もの観光バスが往来するわけだが。牛たちは既に放牧期間 を終えたらしく、入り口付近の牛舎で見かける程度だ。
そんな寂しい牧場でも一応、風景は雄大な“北海道”だ。季節外れの牧場観光も悪くはない。 見晴台から十勝平野を一望。濃厚なソフトクリームは期待通りの味だ。レトロなトラクターに乗って記念撮影もした。
下る途中、一服した放牧地で偶然、ツリーハウスを発見した。雑誌で見たことはあるが、間近で見るのは初めてだ。でも雑誌のもの に比べ、かなり個性的な印象。それもそのはず、ツリーハウスは、流木で組まれていた。つるつるでくねくねの流木が美しい曲線を 作りだしていた。まるで魔法使いの見晴台だな。存在感のある不思議な雰囲気を持っている。 僕らはすっかりツリーハウスに魅了されてしまった。
牛のいない秋の放牧地もまた、格別の気持ち良さがあるものだ。季節外れの牧場は悪くない。


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@ナイタイ牧場へ向けての走る。すれ違うクルマはない。どこまでも真っ直ぐ続く道
Aアザミの花が咲いていた。昔は見つけると蜜を吸っていたな
B古い輸入物のトラクター。牧場のシンボルだ

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Cサインの向こうは十勝平野が広がる
D見晴台からの眺めは爽快だ
E各国の主要都市までの距離が記載されたサイン

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F遠くに見える山並み。大雪山系へ連なる
G樹齢100年を越える柏(かしわ)の木にツリーハウス
B秋の牧場は牛がいない

(第2話)初めての蕎麦収穫作業
蕎麦畑までは家からクルマで約40分。北海道の40分は“近い”っていう距離感覚だ。
蕎麦畑は親父が山林から開墾した畑である。彼が一人で建てた作業小屋もあって、ドラマ「北の国から」のイメージだ。僕らは愛情 を込めて“ゴローの家”と呼んでいる。
いたるところに切り株が残る道楽のために購入した土地の広さは約3,000坪。その中の蕎麦 畑の面積は、だいたいバスケットコート2面分くらい。小さな畑である。 さて、蕎麦の収穫作業。既に天日干ししてある蕎麦の穂から実を落とす作業である。僕らが思っていたほど畑仕事の時間はかから ず、半日で終った。やはり、大人5人のマンパワーと、良く整備された70年代製「ファーガソン」社のトラクター1台の力を借りると楽 勝ってことか・・。


●蕎麦畑に到着。北海道のでっかい空の下、良く乾燥した蕎麦
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@軽トラと乗用車に分乗し、畑に到着。ツナギ姿が眩しい加藤さん。準備万端
AB実をしっかり付けた蕎麦はカラカラに乾燥していた

●収穫作業開始。乾燥した蕎麦を集める
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C刈り取った蕎麦が乾燥中。実を落とすのが今日の畑仕事
D真っ白いツナギを着て20歳ぐらい若返った宮部さんは楽しそうだ
E蕎麦を抱えて1箇所に集めるのはすべてマンパワー

●ブルーシートに集めた蕎麦を、なんとトラクターで踏んで実を落とす
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Fトラクターの車輪幅に合わせ実の付いた蕎麦を置く
GH何度も何度も実が落ちるまでトラクターは前進後退をくり返す

●トラクターで大雑把に落とした実をさらに振るいにかける
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I“ゴローの家”でお茶とおやつの時間。農作業の一服は“幸せ”。土の上での労働は気持ちが良いもの
J昔ながらの人海戦術で作業は進む
K「トウミ」という実の選別機。手動式。

●「トウミ」の選別作業。
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L振るいにかけた蕎麦の実を上の口から入れる
Mハンドルを回して風を起こし、実以外のゴミを吹き飛ばすという簡単な仕組み
N下の口から、蕎麦の実だけが出てくる。やったぜ!

●蕎麦の実を無事収穫。感激です。
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O取れた手の「蕎麦の実」
P後片付け
Q無事畑仕事が終了


* 親父の話しに寄れば、今年の収穫(今日、実を落としたもの)はだいたい80キロぐらい。そば粉にして60キロくらいだろうとのことだった。 美味い蕎麦になって僕らが食べることができるまでには、そば粉にする作業があるから、何週間間か先になる。もしかしたら、自分たちで収穫した「新蕎麦」を食べられるのでは? という僕らの希望は残念ながら叶わなかったが、親父の蕎麦仲間が収穫した蕎麦で作った新蕎麦の味は最高だった。
後日、3週間ほどあとに僕らの収穫した蕎麦が粉になって送られてきた。自分たちで収穫を手伝った新蕎麦って美味しく感じるの はもちろんだけれど、愛情が芽生えてきちゃって、本当に大切に、有難く食べさせていただきました。


(第3話)旧国鉄広尾線「幸福」駅
帯広が初めてという同行の忠さんと宮部さん。やはり観光地のひとつやふたつ案内しないわけには行かない。 すっかり忘れていたけれど、帯広空港の近くに旧国鉄・旧広尾線の幸福駅があったのを思い出した。蕎麦畑の 仕事の合間に二人を案内することにした。


●じゃがいも畑の真ん中にある観光地
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@木造の駅舎の壁には名刺やメモがびっしり
Aすっかり観光地として整備されていた幸福駅。駐車場には季節外れの観光客が数組
Bのどかなローカル線のホームに立つと、知らない遠くの町に来たような旅気分になった

●2006年秋の幸福駅ホームにて
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Cホームから見る景色は、見渡す限り北海道らしい風景
Dホームの看板は真新しい。でも錆付いた古い枠はそのまま。ちょっと悲しい感じ
Eこんな風に記念撮影。意外と線路も汽車も大きい

●ついでだから「愛国」駅も観光
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F右手奥の赤い屋根が愛国駅。左の汽車は国鉄時代、売店として使われていたらしい
G駅舎の横に巨大切符の石造があった
H愛国駅には蒸気機関車が横付けされていた。ここも記念撮影のおススメのポイントだ



* 忘れ去られていた地方の観光を訪れるのは、意外と風情があって面白いということがわかった。当時の売れ残り 商品と思われるキーホルダーや切符なんというのもあって興味をそそられる。幸福駅や愛国駅にはなかったが、 もう少し大きい観光地なら、きっと三角のペナントなんていう代物もあるんじゃないかと思う。 地方の数少ない観光地。どちらの駅も整備が行き届いており、しっかり刈り込んだ芝生と空の青さがとても眩しか った。全国の観光地、要チェックかもしれません。




(最終話)自給自足の蕎麦の味
蕎麦畑の収穫作業も無事終了。畑仕事で“いい汗”をかいた後は手打ち蕎麦作りを手伝う。
自分たちの収穫した蕎麦を食べたかったという想いがあったが、製粉が間に合わず断念。 しかし、採れたての新蕎麦が用意されていたので、親父の指導の元、蕎麦の手打ちを体験する。
@こねる、A伸ばし、B重ね、C切る。慣れた人がやるように蕎麦を打つことは当然できなかった。見栄えのする蕎麦に、美しく打つのはかなり難しい。 微妙な水加減。こね具合。のし具合。包丁使い。体力。気力。経験。どれも美味い蕎麦を作りあげるための重要な要素だ。そしてそれは“大変な作業”である。 今回、収穫から手打ち蕎麦を食べるまでの大雑把な過程を体験。最後に食べた手打ち蕎麦は涙が出るほど美味かった。
手間のかかる蕎麦づくりのプロセスの一端を体験したからこそ、ありがたくいただくという想いを強く持つことができた。
(慣れない手打ち蕎麦づくりのためか、お腹が空きすぎてしまったためか、肝心の出来上がった蕎麦の写真は撮り忘れてしまいました。)
また今年も北海道・帯広では、5月の下旬くらいから蕎麦の畑が始まるようである。
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■帯広周辺の道草ダイジェスト
●元祖豚丼の『ぱんちょう』(@A)  ●日本甜菜製糖工場の雑木林(B)、紅葉(CD)  ●大津漁港。秋刀魚でツブ貝を釣る(E)、港のアザラシ(F)  ●長節湖の丹頂鶴(G)  ●ナイタイ牧場のツリーハウス(H)  ●旧国鉄広尾線「愛国駅」(I)、「幸福駅」(JK)
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- Hilo Morimoto
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