毎年5月、「ギャラリー代々木」(東京都渋谷区)にノスタルジックな空間が現れる。
三原等さんの個展である。昭和30年代、幼年期を過ごした彼の絵画とオブジェ作品のイメージは「三丁目の夕日」の時代を少しばかり欧米化した感じだ。何とも言えぬ温もりと明るさ、そして優しさと哀愁につつまれている。
2009年の個展のテーマは、遊戯、旅行、玩具。展示作品の半分くらいを占めていたオブジェ作品群がかなり気に入ってしまった。小学校時代、図画工作が得意だった同級生がプロになってしまったら、きっとこんな作品が出来上がるのだろうな。作品は実際に動いたり、遊べたりするものがほとんど。遊び心と懐かしさがかきたてられる。工作と遊び道具がアートとが融合した秀作ばかりだ。ちなみに製作者の三原さんのお気に入りは、射的セットだそうだ。
無秩序にどんどん都市化が拡大する街、東京に住む者にとって、古いものを愛するアーティスト、三原等さんの作品は、騒がしく、忙しい日々の生活から救い出してくれるかもしれない。